**イディオム(慣用句)とは、個々の単語からは全体の意味を推測できないフレーズのことです。例えば、"piece of cake"**はケーキとは何の関係もなく、単に「とても簡単」という意味になります。英語にはこうした表現が溢れています。このガイドでは、実際に耳にする機会が多い10個のイディオムを、意味と例文付きでご紹介します。
最初に少し注意しておくと、イディオムは料理の「調味料」のようなものであり、メインディッシュではありません。ネイティブスピーカーは、教科書が推奨するほど頻繁にイディオムを使いません。そのため、まずは多くの表現を「聞き取れる」ようにし、自分で「使う」のは自然に言える数個にとどめるのが目標です。
知っておくべき10のイディオム
ここに挙げたものはどれも一般的で、現在もよく使われており、慣れてくれば安心して使える表現ばかりです。
| イディオム | 意味 |
|---|---|
| Piece of cake | とても簡単 |
| Break a leg | がんばって(本番前の人に向けて) |
| Under the weather | 少し体調が悪い |
| Hit the sack | 寝る、ベッドに入る |
| Cost an arm and a leg | とても値段が高い |
| Once in a blue moon | ごくたまに、めったにない |
| Call it a day | 今日の仕事はこれでおしまいにする |
| On the fence | 迷っている、決めかねている |
| Get cold feet | 大事な場面を前に怖気づく |
| The ball is in your court | あとはあなた次第、あなたの決定待ち |
例文で使い方を見る
イディオムは文脈の中で聞いてこそ、ピンとくるものです。それぞれの実際の使われ方を見てみましょう。
| 例文 | どういう意味か |
|---|---|
| "The test was a piece of cake." | テストはとても簡単だった。 |
| "Break a leg out there!" | 本番がんばってね!(ショーや試験の前に)。 |
| "I'm a bit under the weather today." | 今日はちょっと体調が悪いんだ。 |
| "I'm beat — time to hit the sack." | クタクタだ。もう寝る時間だよ。 |
| "The repair cost an arm and a leg." | 修理代がものすごく高かった。 |
| "He got cold feet before the wedding." | 彼は結婚式の直前になって怖気づいてしまった。 |
**"Under the weather"は、体調不良で仕事を休む連絡をするときに最適なフレーズです。"I'm feeling under the weather, so I'll work from home today"(体調が優れないので、今日は在宅で勤務します)は、丁寧で自然であり、"I'm sick"(病気です)と言うよりも少し柔らかい印象を与えます。"Break a leg"**は、誰かがパフォーマンスをしたり、大きな試験を受けたりする前にかける定番の言葉です。"good luck"でも通じますが、"break a leg"の方がより温かみがあり、英語のニュアンスをよく知っている印象を与えられます。
本音の解説:教科書が誇張しがちなイディオム
有名なイディオムの中には、誰もが知っているものの、実際にはほとんど使われないものもあります。その代表例が "it's raining cats and dogs"(土砂降りの雨が降る)です。ネイティブスピーカーなら誰でも知っていますし、使えば微笑ましく思われますが、実際に口にする人はほとんどいません。代わりに彼らは "it's pouring" と言います。
教科書に載っているような、少し古臭く感じられるイディオムには注意しましょう。そればかりに頼りすぎると、生身の人間ではなく、まるで本が喋っているかのように聞こえてしまいます。迷ったときは、"it's pouring"(土砂降りだ)、"it's freezing"(凍えるように寒い)、"I'm exhausted"(疲れ果てた)といった、普通の表現を選びましょう。イディオムは、本当にぴったりハマる場面のために取っておくのが賢明です。
したがって、イディオムはまず「リスニングのスキル」として捉えてください。周りの人が使ったときに理解できるよう、幅広い表現を知っておくことは大切ですが、自分で実際に使うお気に入りのフレーズは、口に馴染む数個だけに絞りましょう。
イディオムが難しく感じられる理由
イディオムや句動詞("put up with" や "run into" など)は、英語学習における本当の難所です。なぜなら、論理的に意味を解読することができず、一つひとつ出会って覚えていくしかないからです。それはごく自然なことであり、英語を学ぶのは難しいのかという記事でも詳しく解説しています。
英語学習を続けよう
イディオムは、根気強く英語に触れ続けることで身についていきます。本物の英語を聞けば聞くほど、それらの意味が自然と頭の中で結びついていくはずです。Pretalkアプリの音声や間隔反復(スペースド・レピティション)機能を使ってよく使われる表現を練習し、無料の英文法ガイドで基礎となる文法力も一緒に鍛えていきましょう。